歯ぎしり・食いしばりとは
睡眠中や日中に無意識に、強い力で上下の歯と歯をギリギリさせたり、噛みしめたりすることです。
歯ぎしりや食いしばりの力は、体重の数倍とも言われています。
強い力のため歯に過度な負担がかかり、歯を痛める原因のひとつとも言われています。
また歯ぎしりはどうして起こるのでしょうか。
主にストレス、噛み合わせ、飲酒・喫煙、習慣などが考えられますが、原因は様々で複雑に絡み合っていることが多いです。
歯ぎしり・食いしばりがもたらす危険性
過度な負担は、歯への負担だけでなく様々なトラブルをまねくことがあります。
歯がすり減る
歯が削れてしまい、歯が短くなったり、しみることもあります。
歯が割れる(折れる)
健康な歯でも歯ぎしりや食いしばりを続けていると割れたり折れたりすることがあります。
かぶせ物が取れる、壊れる
歯ぎしりにより歯科用セメントが剥がれて被せ物が外れたり、かぶせ物が破損してしまうことがあります。
歯周病を進行させる
健康な歯肉であっても歯ぎしりにより、歯肉や歯周組織に大きな負担がかかるため、歯周病を進行させてしまうことがあります。
歯並びが悪くなる
強い力が持続的にかかると、歯並びが悪くなることがあります。
顎関節症を引き起こす
歯ぎしりは歯への負担だけでなく、顎関節へにも負担がかかり顎関節症を引き起こすことがあります。
起床時に顎の痛みを感じる場合や、口を開けづらいなどの症状がある場合は、顎関節症の可能性があります。
肩こりや頭痛を引き起こす
歯ぎしりによる過度な負担は、顎関節への負担だけでなく、首や肩、背中にも影響します。
結果、頭痛や肩こり、背中の痛みなどのトラブルを引き起こすことがあります。
以上のように、歯ぎしりは歯への負担だけでなく、体の健康にも影響することがあります。
歯ぎしりを改善することで、口腔環境だけでなく、体への悪影響が改善されることもあります。
「歯ぎしり・食いしばり」気づいていますか?
歯ぎしり・食いしばりのサイン
睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをほとんどの方がしていると言われていますが、気付かないことがほとんどです。知らず知らずの内に歯やご自身の体を悪くしていることが多いです。
実はお口の中では歯ぎしりや食いしばりをしている跡が見られることがあります。
歯ぎしり・食いしばりの検査(睡眠時歯科筋電図検査:保険適応)
お口の中の跡だけではどれぐらいの力でどれぐらいの回数や時間をしているかはわかりません。
過度な負担は、歯への負担だけでなく様々なトラブルをまねくことがあります。
睡眠時歯科筋電図検査は、夜間睡眠時の筋活動を測定し、⻭ぎしりを客観的・定量的に評価します。
患者様自身で行っていただきますが、自宅で手軽に筋電図測定ができます。
歯ぎしりの治療法
虫歯はなぜできてしまうのか・・・その原因を知っていますか?
歯ぎしりすることでストレスの緩和していることも示唆されており、一概に悪いとは言えません。
また歯ぎしりをゼロにすることは難しいですが、過度な歯ぎしりは負担がかかるため、コントロールして上手に付き合っていく必要があります。
確立された根本治療はなく原因に応じて対応することがまず有効です。
まずはストレスコントロール、噛み合わせ治療(虫歯、歯周病、欠損補綴、歯列矯正など)、食習慣や生活習慣の改善です。さらに症状や状況に応じたマウスピース治療となります。
歯ぎしりと呼吸の関係
虫歯はなぜできてしまうのか・・・その原因を知っていますか?
歯ぎしりは睡眠が浅くなるとおきるといわれています。
そのため睡眠の浅い無呼吸や低呼吸いわゆる睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)の多くが、隠れ歯ぎしりをしているといわれています。
そして睡眠時無呼吸症候群の弊害はそれだけではありません。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に一時的に呼吸が停止(無呼吸)が繰り返される病気です。
これは通常、気道の一時的な閉塞や中枢神経系の問題によって引き起こされます。
気道が閉塞されることによる典型的な症状としていびきがあり、本人や周りの方の睡眠を障害することがあります。 睡眠の質が低下することで、昼間の嗜眠や疲労感を引き起こします。
さらに重要な点として、睡眠時無呼吸症候群は合併症のリスクを伴います。夜間の低酸素状態や睡眠の中断が、心血管系や神経系に悪影響を及ぼすことがあります。
長期間にわたって治療を受けずに放置すると、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、肥満などの健康問題と関連する可能性があります。
こんなことはありませんか?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は、個人によって異なりますが、以下に一般的な症状をいくつかあげます。
高いいびき
睡眠時無呼吸症候群の方は、通常、いびきが非常に大きいことが特徴です。
いびきは、上気道が一時的に閉塞することによって引き起こされます。
呼吸の一時的な停止
睡眠中に一時的に呼吸を停止することがあります。これは通常、上気道の閉塞によって引き起こされます。
呼吸停止の期間は数秒から数十秒に及ぶ場合があり、これが繰り返されることで睡眠の質が低下します。
頻尿
睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間に頻繁にトイレに起きることがあります。これは、睡眠中の呼吸の一時的な停止によって引き起こされる夜間多尿症状と関連しています。
睡眠中の目覚めや不眠感
睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠中に何度も目覚めたり、深い眠りに入りにくいと感じたりすることがあります。これにより、疲労感や不眠感が生じることがあります。
昼間の嗜眠や疲労感
睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間の睡眠の中断や低酸素状態の影響で、昼間に過度の嗜眠感や疲労感を経験することがあります。
これは、十分な休息を得られないために起こる可能性があります。
これらの症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
マウスピース(スプリント)
治療には、いびき治療専用のマウスピース(スプリント)を使用します。
保険診療の場合は上下一体型のマウスピースがあります。(内科・耳鼻科での診断必要)
保険外治療では、上下分離型のマウスピースを使用します。
マウスピースを使用すると、下あごを前に出した状態を維持できるようになり、就寝中も気道が開くため、空気がよく通るようになります。
快適な睡眠が健康を守る
快適な睡眠は、身体の回復に重要です。
睡眠中には、細胞の修復や再生、ホルモンの分泌、免疫機能の強化など、さまざまな身体的なプロセスが行われます。
十分な睡眠を確保することで、身体は健康を維持するために必要な修復と再生を行うことができます。
当院では、歯の健康はもちろん、全身の健康を考えた治療を行っております。
歯ぎしりや食いしばり、睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方は、一度ご相談下さい。